大学時代の交流こそ、生きる方向性を与えてくれる

根本 敬

 

(上智大学総合グローバル学部教授・専門:ビルマ近現代史)

  ここ数年、ミャンマー(ビルマ)への日本人の関心が強まっています。とはいえ、多くの場合、それは利益志向の「ビジネス」や、その場を楽しむだけの「観光」の範囲におさまっています。大学生の皆さんは、まだ社会に出る前の恵まれた時間を自由に使うことができる存在です。会社や役所などの都合に左右されることなく、ものごとをフリーハンドで考え、「問いかけ」を発し、他者との利害関係抜きの交流を通して、自分の生き方や、他者と共有できる大切な価値を見つけるための「とき」が与えられています。この有意義な「とき」の使い方を誤ってはなりません。また無駄にしてはいけません。ミャンマーへ関心があるのなら、まずは読書を通じてこの国の文化と歴史、抱えている課題を学び、さらにミャンマーの人々と直接に交流しましょう。IDFCは日本とミャンマーの大学生が一緒になってつくりあげる貴重な交わりの「場」です。IDFCのプロジェクトへの参加を通じて、社会人になってからでは体験することが難しい利害関係なしの「対等な関係」をつくりあげてください。それは間違いなく、皆さんに生きる方向性を与えてくれ、また皆さんの生きる力を深めることにもつながるはずです。